早いもので11月ももう半ば。

北海道各地では急な冷え込みと積雪に見舞われ、一気に冬景色。

海水温度もすっかり下がり例年並み。

翔の気持ちとしては、前回に引き続き小樽で、丸々と太ったサバをメタルジグで釣りたいと思っていたが、こうも寒くなると流石にサバは見込めない。

となると、次のターゲットを絞り込まなければならないのだが、頭の中にはロックフィッシュくらいしか思い浮かばなかった。

季節も変われば魚も変わる。

これも風情………。



15日金曜日

翌日土曜日は休みで、娘と息子の学習発表会。

いつもならそんなの関係ねぇと、仕事終わりから翌朝まで釣りにでかけてしまうが、なんてったって吹雪!

なんならその先もずっと悪天候。

行けない…………。

釣りに行けない………。

ロックフィッシングってのは風が強いと本当にやりにくい。

じゃあ別の釣りを……と頭をひねるもパッとせず、釣りを諦め、自宅で酒を飲みながら翔の過去のブログ記事を眺めていたら、ホッケの記事が目に飛び込んできた。

それは、2018年12月22日の兜千畳敷での記事。

もう1ヶ月もしたらこんな時期か………

そしてクリスマスか………

なんて考えていた翔は、抱卵ホッケの存在に気付く。

例年この時期じゃないかと!!

慌ててググってみるも、今年の兜千畳敷での抱卵ホッケの情報はほぼ無しで、あっても、まだ時期ではないというものだけだった。

道南方面では釣れているようだが、そこまで遠征する気にはなれない。

一応、各地の週間天気予報でも調べておこうと思い、スマホにインストールしてある複数の天気予報アプリや情報サイトとにらめっこ。

怪しい………。

日曜日出勤の………代休が当てられた………  

月曜日の天気が怪しい。

イイ意味でッ!!

道央圏で………早朝のみだが、メタルジグを飛ばすことくらいならできそうな場所が数か所ある。

泊もそのうちのひとつ………。

ただし、情報元によってかなり誤差があるため、天気図………過去データ………を参照して自分に予測を立てる。

結果、泊なら午前中のその更に前半………

つまりは日の出から9時くらいまではメタルジグによる釣りが可能であると判断。

風向きは沖方向の風……波も潮流も悪くない!!

抱卵ホッケが釣れたという釣果情報など無いが、月曜日がその日になるかもしれない。

期待はできないが、調査を兼ねて泊 兜千畳敷へ抱卵ホッケを狙って出撃することに決めた。

それも、直ぐに引き上げられるよう、軽装備で済むルアー縛りで。

行くと決めたら迷わない。



釣行当日……

1時30分に起床し荷物を積み込んで出発!!

兜千畳敷へは3時頃に到着したが誰もおらず車中待機。

磯の様子は良好だ。

風も想定内で、波かぶりもない。

安心した翔は、イメージを膨らませながら車中待機し、明るくなり他の人たちも来始めた6時頃、磯へ降り立ち、磯先端部を陣取った。

先端を陣取ったのには理由がある。

兜千畳敷では、Aのワンドが一番有力なスポット。

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しかし、ホッケの岸寄りが未確定なため、ワンドでダメなら沖への遠投も視野に入れたいところ。

その両方を狙えるのが先端というわけだ。




タックルはディアルーナS106MHに、レアニウム4000XG。

タックルを用意したら、しっかりと重石を下げて風対策した投げ釣り用の竿置きに立て掛ける。

磯場での直置きは思わぬ事故に繋がる。

踏んだり、傷ついたり。

カチャン……なんて置こうもんなら、ロッドに小さなクラックが入り、キャスト時にあっけなく折れるなんてことも……。

磯場は港や防波堤よりも色々と気を配らなければなら無い。



あれこれと準備が済んだら次は根回しだ。

………?

根回し………?

ホッケに贈り物でもして、その節はよろしくお願いします………なんて言うのだろうか……と思われるだろう。

えぇ……その通りだ。

何をするかというと、撒き餌を打つ!!

サビキや浮き釣りではなく、メタルジグだが、秘策としてオキアミを持参したのだ。

これを、まだホッケが釣れない時間帯に、湾度の奥の方に数回に分けて撒いておいた。

なぜこのような事をしたかというと、ホッケを早く寄せるため!!

この時期いくら岸寄りすると言っても、釣れる範囲に入ってくるのは、釣り人の撒き餌目的。

回遊中、それに足止めされたホッケを狙うわけだ。

それに前々から頭を熱くしながら予測した天気……

釣りが可能な時間が長くは持たないのは目に見えている。

どうせ後から来るサビキ・ウキ釣りの人達が撒き餌を撒くのだが、それが効き出すのは匂いが沖に出払ってその後だ。

それに、いくら翔がメタルジグだって言っても、お金出して撒き餌を撒いて寄せている人のそばでメタルジグで釣られたら気分もあまりいいものではないだろう。

アミピュアひとつでお互い嫌な気分にならないで済むならと思って用意したという理由もある。



そうこうしているうちに7時を回り、他の方も次々と磯へと降り立ちやはりほとんどの方がワンドを囲むように釣座を構える。

とは言っても、シーズンインかも分からない状況で、更には平日ということもあり、7人程だ。

そして翔は沖に向かってキャスト!!

ホッケが居るのかも分からないが、この瞬間はドキドキとワクワクに包まれる!!

着底したら低層から中層をくまなく探る。

アクションもワンピッチジャーク……ロングジャーク……トゥイッチ……ただ巻き……ジャカ巻き……

そもそも今まで、ホッケはウキ釣り一択だったため、ほぼゼロからのスタート。

なのでとにかくなんでも試す。

それで釣れればパターンを読んで絞っていく。

すると、後ろの方でおじさんの声が上がる!!

キター!!!

開始間もなくで、ウキ釣りの仕掛けにホッケが喰らいついた!!!

居るっ!!!

居るのかっ!!!

希望という光が心に灯った!!

数はともあれ、居ることが分かれば、あとは釣るだけ!!

しかしホッケは餌やサビキの仕掛けにしか反応しないのか、翔の投げるメタルジグには全くの無反応。

メタルジグはやはり不利なのか………

それでもせめて2〜3匹くらい掛かってくれ……

そんな想いも無情に、後から釣られたホッケをが地面を叩く音が聞こえてくる。

それから30分………時間にして8時頃、こうなるとウキ釣り用タックルを持ってきたら良かったかな………と、後悔の念が頭をよぎる。

しかしそんなものは持ち合わせていないし、自分が選択した方法。

やるしかない。

諦めたらその時点でアウト!!!

キャストーー!!

着水!!!!

フォール!!!!


トッ…………

トトトトトトッ!!!

!?

鬼フックっ!!!


ドフゥッ!!!

掛かった重みでロッドが曲がる!!

ンゴフッ!!!

ングッ!! ングッ!! ングッ!!

おおお!!!!

この引きっ!!!

力強い!!!

ロッドに荷重をしっかり掛けてファイトを楽しみながら寄せるッ!!!

バッドエンドから伝わる魚の息吹!!!

たまらねぇッ!!

至近距離まで来ている!!

するとそこから………

ググググゥー!!!

おおー!!

潜る!!

それを力でねじ伏せ、ラインを巻いて……ロッドをしっかり握り直し………

引き抜きッ!!!!

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やったぁぁぁぁぁ!!!

なんと嬉しい!!!

釣れるか分からないホッケが釣れた!!!

今のは着水からのフォールで喰った。

ならば今度はフォールを意識してみよう!!


キャスト!!

着底したら、

そこからはロングジャーク!!!

大きな動作でロッドを跳ね上げ、上がりきったら素早くロッドを水平に戻す!!

すると、ラインからテンションが抜けてバックスライド気味にフォール!!

ギュゥッ!!!

スッ………

フォール………

ギュゥッ!!!

スッ………

フォール………

ギュゥッ!!!

ドフッッ!!!

ロングジャークに移行し、テンションが掛かった時点でフッキングとなった!!!

やはりフォール中に喰っている!!!

あとは楽しむッ!!!

たーーーのーーーしーーーい!!

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サイズも大きく、35cm以上だ!!

そしてこの状態を楽しんでいると、狙うラインによっても反応の濃さが変わることに気付いた。

ワンドから払い出すような海流を横切る時にヒットするパターンが多いのだ。

これは翔が………そして他の人達が打ち込んだ撒き餌の匂いが流れに乗っているからであろう。

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図でいうとこんな感じにキャストすると、かなりイイ確率で掛かってくる!!

この壮大で厳しい自然環境の中でロッドをしならせる状況に大興奮!!

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ホッケの活性が高まったのだろう、断然メタルジグの方に軍配が上がる状況となった。

それを見てか、周りの方々もタックルを換装し始め、気付けば皆でメタルジグを投げ込んでいた。

そして9時を回ると恐れていた魔物が顔を出し始める。

背にした山からシュゴォーーーという唸り声とともに襲い掛かる突風!!

マズい!!

突風ならいいが、風速のアベレージ自体が急に上がってきている。

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まだ危険な程ではないため、釣りは続行するが、なんせラインが横風に流れ、着底の感覚さえも遠くなってきた。

これではメタルジグがどんな動きをしているのか、そもそもちゃんと動いているのかも分からない。

その為か魚の反応も薄くなる一方だ。

考える。

考える。

強い横風でもしっかりとアクションさせたい!!

あ…………

翔の頭にカムバックしてきたのは、 前のサバジギング!!

南防波堤に吹く強い横風に影響されなかった釣り方だ!!

素早いワンピッチジャークからのベール返し!!

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これならしっかりとレンジを上げてフォール時間を稼げる!!

ワンピッチジャーク中は強いテンションが掛かっているため風の影響を受けにくく、フォールはベールを返しているため、風の中でも余裕でフリーフォールが可能だ。

思い立ったら試す!!


キャスト!!

着水……………着底……

ジャークジャークジャークジャーク!!

ベール返しフリーフォール……

ジャークジャークジャーク!!

ベール返しフリーフォール!!

ジャー……ドグゥッ!!

キタッ!!!!

コレだコレだっ!!!

この変則ジャークがこれまたヒットパターンとなり、このあとも手返し良く釣れた。

メタルジグも色々と試したが、飛距離重視の後方重心のものより、センターバランスの物の方が良い働きをするようだ。



9時30分…………

とうとうこの時が来た。

今まで突風だった風が、突………ではなく常……となり、追い打ちを掛ける強い雨!!

先端に立つ翔は、その雨風にに背中を押されている状態だ。

危険。

波も急にうねり出し続行不可。

予想通りの展開となった。

翔はすぐに荷物をまとめ、磯を後に…………するんだけど、釣ったホッケの重さったら……。

ゼェゼェ言いながら磯を上がっていった。

車で着替えを済ませ記念撮影!!

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さり気なくバケツ満タンの魚も写しておいた。

そして居合わせた札幌南区からお越しの釣り人さんとしばらくお話をし、一休みしてから帰路についた。

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帰宅するとそこはもう水産加工場。

鱗を落とし、調理する目的別に捌き保存!!

現地で釣れる度に血抜きをし、水もこまめに交換していただけあって身は真っ白で綺麗!!

卵もたくさん取れた!!!

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この卵のグロさったらもう………

この時点では食欲が全く起きないが、これがまたたまらなく美味い。

早速夜に食べたくて、唐揚げ用に下ごしらえ!!

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この日我が家は、魚の姿に刺激を受けてか空腹が進み、早めの夕食となった。

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ホッケの唐揚げは、衣がサックリと歯を迎え、中はふっくらしっとり。

臭みのない蛋白で上品な身は衣に付けた薄い下味だけでも十分だが、醤油……味付ポン酢……マヨネーズ……七味なんかとも相性がいい。

いろいろなバリエーションで楽しめ、沢山つくったがすぐに完売。

卵の煮付けも醤油ベースのタレが染み込み、フツッフツッと歯に触る卵の食感が絶妙。

ご飯のお供に……お酒のお供に、最高の出来であった。

沢山釣れたのでこの後もしばらく旬の魚の味を楽しめそうだ。



今回は、いろいろなタイミングや状況が重なり、良い釣果を残せた。

こうして楽しめ、旬の味わいに舌鼓を打てるのはあの雄大な自然環境があってこそ!!

趣味を楽しみながらその自然からお裾分けをいただけるということはこの上ない幸せだ。

この想いと感謝を忘れてはいけない。



■釣果■
・ホッケ×34